拾われた少女
「申し訳ございません。
……私は何も覚えていないのです。」
アリシアは怖れながら震える声でそう述べた。

その言葉に偽りはなかった。
目を覚ましたらこの部屋にいただけなのだから…。

「…なに?」
「ルキア様…アリシア様は名前と年齢以外は何も覚えておられません。
………記憶喪失かと。」
横にいたジュリア助け舟を出して説明してくれる。

目の前にいる国王の目が大きく開かれる形となった。
それもそのはずだろう…
特に頭を強く打ったわけでもないアリシアが記憶喪失になっているのだから。

なぜ何も覚えていないのか
…それはアリシア自身にもわからなかった。


「ではサリア軍を見たかも分からないのか?」
サリアと言われても今のアリシアには全く分からなかった。
アリシアは小さく返事をした。
「…まぁいい。
お前の村と両親が分かるまでここに留まっていればいい。」
ルキアの言葉にアリシアはほっと胸をなでおろした。

「ジュリア、引き続き頼む。」
ジュリアはそれに答え、頭を下げた。
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