拾われた少女
「今朝、サリア軍の動きがボレの森であった。
アリシア…その少女が倒れていた場所は森にある崖の下だ。
そして周りには一つも歩いた痕跡が残っていなかった。」

「は…!?
崖から落ちてきたとでも言いたいのかよ」
シドは座っていたソファーから身を乗り出した

「…あの崖から落ちて助かる奴はまずいないだろう。」
ましてやあんな軽傷なんてものじゃすまされない。

「ほら、昨日は雨が降ってただろ、
それで足跡も流されたんじゃねぇーの?
お前の考えすぎなんだよ」
「…だといいんだがな。
アリシアの身体や服は濡れてなかった
……明け方まで降っていた雨で足跡が消えたとは考えられない。」

足跡は雨で消えたのではなく、もともとついていなかった。
アリシアが歩いていて倒れたのではなく、
あのあまりにも高い崖から落ちてきた。

しかしその仮説をたてると
アリシアがあの場所で気を失った時間は雨のあがった今朝から俺の見つける昼過ぎまでの間
……サリア軍の動きと時間帯が重なっていることになる。
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