拾われた少女
アリシアはアリシアで困惑していた。

自分のために尽力してくれた相手を拒絶してしまった…

彼に拾ってもらっていなければ今の命さえなかったかもしれないのに
こんな風に色々な形をした花の鑑賞を楽しむことも…

「あ…あのっ…」
アリシアは思いきって手を伸ばして、帰ろうと背を向けたルキアの服の端を掴んだ。

ルキアが驚いて振り返る。

「私……男の人が怖いんです。
廊下ですれ違う兵士の人とか…多分、あまり見たことないだろうから…それで…」

一体何を伝えたいのだろう…
自分で言っておきながらよく分からなくなってきた。

ルキアはしどろもどろになりながらも言葉を紡ぐアリシアをじっとみつめ、何を言わんとしているのか探っているようだった。

「兵士たち男が怖い?
 それであまり部屋から出なかったのか…?」

アリシアはルキアの服を掴んだまま小さくこくりと頷いた。

「兵士はただの護衛で何も襲うなんてことは…」

「解っています。でも……今みたいに怯えてしまうんです。」
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