拾われた少女
宮廷を歩いていると壁際から姿を現した。
ヴィルフォード家と古くから関のある貴族の娘エリシャ…
そしてシドと同じくルキアの幼なじみでもあった。
小さい頃3人でよく集まってはかくれんぼだのチェスだのと遊んでいた。
年とともにその回数は減っていったけれど


彼女のつけている強いにおいのする香水が鼻の奥にまでささる。
「なんの用だ。」
「ルキアの近くにいたくて来たの。」
エリシャはルキアの腕に抱きつくが彼はすぐにその手を払いのけた。
「ベタベタくっつくな」
「俺は忙しい。まわりを彷徨くな
 …部屋を訪ねてきたりもするな」
「ルキアっ…」
引き止めようとする必死の呼びかけにも彼は答えることはなくエリシャの前から姿を消した。



「……そんなにあの女がいいの?」
誰もいなくなった通路でそう呟く彼女の顔はルキアに見せていたものとは一変して暗く荒んで
その目は嫉妬の色に染まっていた。

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