拾われた少女
「あなたがアリシアね。単刀直入に言うわ。
あなたはここにいていい者じゃないのよ、自分でも分かるでしょう?
ルキア様は可哀想なあなたに同情して拾って あげただけ。」

「エリシャ様!何てことを……」
彼女の後ろに控えているジュリアが止めに入るが当の本人はそれを全く気にも留めていないようだった。

「はっきり言ってあなたはルキアにとって迷惑 なのよ!
 ルキアは忙しいのよ、それなのに……」
エリシャは思わず声を荒げた。


アリシアがルキアの心も身体も奪っていってしまうのではないか

彼女を見ているとそんな不安に駆られてしょうがない。

同じ女から見ても……アリシアは整った顔だちをしていた。

長い睫毛が大きな瞳をいっそう引き立たせ
化粧も何もしていないのに肌は色白でくすみがまるでない。

柔らかそうな栗色をした髪は彼女の肩から自然な波を描いてながれている。

……世の男からすればこういうのを″可愛い″というのだろう。

だから余計にアリシアがルキアの近くにいることが気にいらない。

「いつまでお姫様になった気分でいるつもり?……自分のいた村がわかったならさっさとこの宮廷から立ち去りなさい!
分かったわね!?」

「………はい」

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