拾われた少女
エリシャがいなくなると部屋の中は嵐がさった後のように静かになった。

「アリシア様、不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。
今後、このようなことがないようルキア様に報告し、間に入ってもらいましょう。」

ジュリアが顔面蒼白になっているアリシアを気遣いながら椅子に座らせた。

「いいえ……言わなくていいの。
私なら大丈夫だから…。
ジュリアがルキア様に言えば今度はあなたがエリシャ様に何か言われるのでしょう？」

アリシアは自分を無理に落ち着かせた。

すべて権威ある者が下の者を従がえる…
特に、この宮廷内では身分の差が露骨に物を言う。

アリシアもそのことをここに来てから十分に理解していた。

「私のことなどは…」
「お願いだから言わないで！」
アリシアは言葉を遮り、嘆願するように言った

ただでさえルキア様は公務で忙しいのに、さらに自分のことで迷惑かけたくない。

「アリシア様…」

「ごめんなさい。
　…今日はもう休みます。」

ジュリアは最後まで不服そうだったけれどアリシアの気持ちを尊重してくれた。



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