介抱係は気苦労が多い
触れた髪から全身が熱くなる。
からかわれているとわかっていても、胸の鼓動は静かになってくれない。
「先輩みたいな人にそんなこと言われると、ドキってしちゃいます」
「俺みたいなって?」
「いや、だから、その。イケメンな人にそんなこと言われたら…」
「へー。俺のことかっこいいって思ってるの?」
「みんな先輩のことかっこいいって言ってるじゃないですか!」
「知らねぇし。じゃなくて井川は?」
「そりゃ。か、かっこいいと思ってますよ?」
ずっと俯いていた顔を上げ、先輩と目が合う。
もう恥ずかしすぎて涙目だ。
「ほんと可愛いな」
私の頭をくしゃっと撫でた。
「本当にやめてくださいよ。美羽ちゃんがいるのに」
自分が寝ているいる間に彼氏が他の女にこんなことしているなんて嫌に決まってる。