離さないから。



「う、うちのことはいいから!!乙葉ちゃんのことはどうすんだよ。婚約者がいる以上何もできねーだろうが。」



確かに…………。
乙葉の気持ちはどうなんだろう。



ガチャッ
ドアが開いた。見ると乙葉がそこにいた。聞かれたか?



「私は無理矢理ではありませんわ…………。確かに好きで婚約したわけでもありません。けれど病気の間ずっと支えてくれたのは彼でしたから。皆と比べると少ない命なら一人の為に生きると決めたんです。」



なんでそんなことを思ったんだよ……………。



「意味わかんねーよ。俺だって一人の女のために生きる覚悟はある。好きなやつじゃないのになんでそこまで執着するんだよ!!」




意味わかんねーだろ!?



「彼は……………唯一私を救えることができる人だから………。」



「おかしいだろ。乙葉ちゃんの考えは変。それじゃ相手が悲しむだけだろ?」



乙葉は悲しそうな顔をしたが首を横に振った。



「私には好きな人がいます。けれど彼はわかってくれています。彼もそれを知って婚約を望んでくれました。」




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