離さないから。



鎖が泣いてた…………。
私なんで寝ちゃったの。バカなんだから。



「鎖が泣いてたのはなんでなのですか?」


一応栗宮先生に聞いてみる。


「んー?あくびだったんじゃないかな?」


「嘘言わないで下さい。鎖は滅多に泣きません。教えて下さい。」



「はぁー。政略結婚の理由を教えたんだよ。」


………………え?


「じ、じゃぁ私の…………」


「教えた。」


なんで教えたの?
理由なんて鎖に教えなくても…………


「言う通りに婚約したじゃないですか。なんで鎖にまで言うんですか!?」


鎖だけには知られたくなかった真実。私はどうしても鎖にだけは言えなかった。


だって…………………




私は鎖のこと好きなのに
結ばれないから。



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