離さないから。



「あぁ…………わかった。」


なんで敬語なんだよ。
電話はそのまま終了して、次は玄関のチャイムが鳴った。


ドアを開けると……………







      藤宮がいた。

少し期待をした自分が情けないな。



「鎖様!!とても心配いたしました。」


「わりー。寝てた。」


「連絡くらい下さらないし。連絡くらいはして下さいね?」


「いいだろ、別に。彼女でもなんでもないんだし。」

あ……………。キツかったか?


「じゃぁ…………じゃぁ彼女にして下さい。」


はぁ!?こいつ何言ってんだよ。


「悪いけど無理。好きな奴いるから。」


「…………梅宮会長ですか?」


わかってんなら言うなよ。

「だったら何?」


「それでもいいんです。お願いだから、付き合って下さいっっ!!私には鎖様しかいないんです…………」


俺しかいない………………か。


「俺だって………あいつ、乙葉しかいねぇーよ。気持ちわかんだろ?」


「……………わかります。お二人には敵いません。しかし、梅宮会長には婚約者がいらっしゃるのも真実です。それでもいいんです………………。好きになって下さるまで何も求めません。だから…………。」



なんでここまでして俺なんかを………






< 39 / 55 >

この作品をシェア

pagetop