Innocent Smile~ずっと一緒に~
いつも、私が利用しない階のトイレ。
その個室に入ってしばらくすると、数名の女の子がトイレに入ってきた。
声からして、3人? 4人かな?
聞き耳を立てるつもりはなかったのに、
女の子たちの声が大きくて、嫌でも会話が耳に入ってくる。
ストレスが溜まっているのか、職場の不満を朝から口にする彼女たち。
どうでもいいけど、ここから出るタイミングを完全に逃した。
誰かの悪口や噂話をしている最中に、堂々と出て行ける雰囲気じゃない。
パンストを着替え終わっても、私は個室でそのまま息を潜めていた。
ああ、私、何やってるんだろ……
あの子たち、早く出て行ってくれないかな。
「ねぇ、社長の息子ってさぁ、イケメンだよね!
この前、社内で見かけちゃったぁー!」
「笑った顔見たことある? 凄いかっこいいよ!」
「でも、フロアが違うからなかなか話しかけられないなぁー。」
「え? 何? 狙ってるの?」
なんだか、彼女たちが恭哉の話題で盛り上がっている。