Innocent Smile~ずっと一緒に~
…知らなかった。
恭哉がモテるのは、しっかり理解していたけど。
遥ちゃんが玉の輿狙いとも思えないし、
本気で恭哉のことを……なんて。
「佐那子さん!行きましょー!」
定時を過ぎたところで、優子ちゃんに声をかけられる。
一生懸命頑張って終わらせようとしたけど、
今日は仕事がなかなか片付かなくてバタバタしていた。
普段なら、間違いなく観念してゆっくり残業するところかな。
「ごめん。もうちょっとかかるから、皆で先に行ってて?」
「仕事、残ってるなら手伝いますよ。」
そう言ったのは優子ちゃんではなく、どこからか現れた恭哉だった。
「…大丈夫よ。すぐ終わるから。」
「ホントですか?…俺の歓迎会、すっぽかさないでくださいよ?」
「わかってるわよ。ちゃんと行くからっ!」
しつこいのが嫌で、恭哉の背中を押して優子ちゃんたちのほうへ追いやる。
少し仏頂面をしながらも、恭哉はオフィスを後にした。