タカラモノ~桜色の片道切符~
「食べられそうなものある?」






『温かいもの食べたいかも』



「もしかして寒い?」





小さく首を横に振ることで問いに答えた



「作ってくるから待ってろ」



『ありがとう』



軽く触れるだけのキスをすると理央は寝室を出た



「食べられるだけで良いから」



『うん』



「ほら」



少なめに掬ったミルク粥を美桜の口に近づけた



『……美味しい』



ゆっくりではあるが確実に飲み込んでくれた美桜に安堵の息が零れた



ペースを合わせて、徐々にお椀の中身は減っていった



『ご馳走様』



「良かった」



茶碗半分になるかならないかの少量だが、昨日に比べると確実に食べられるようになっている。




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