タカラモノ~桜色の片道切符~
「こっちが本物」


左手を取られ同じように嵌められる指輪


溢れ出す涙でよく見えない



「りおく……」


「美桜返事は?」


声にならない。


返事の代わりに彼の背中に腕を回した






到着を告げるベルが遠くに聞こえる。



終着駅に止まった電車はもう戻ることはない。



ポケットには片道切符。


帰りの切符はいらない。



私たちがたどりついたのは倖福(しあわせ)だと思うから。




































Fin
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