タカラモノ~桜色の片道切符~
「美桜さん、疲れてます?」



「え、疲れてはないですけど……実は昨日徹夜したんです」



「明らかに目元赤いですし、顔色も良くないですよ」



「そうですか?メイクするときは気がつかなかったですけど」



確かに連載の締め切りとレポート、卒論の中間報告と重なったため10日間ほど寝不足の日は続いていたが、よくあること。


「お待たせいたしました」



机の上に置かれた二つのグラス



「この間聞けなかったんだけど、何で理桜くんはホストになろうと思ったんですか?」



運ばれた紅茶を口に含みながら尋ねる。外が暑かったせいか冷たい紅茶が心地よい



「……正直なところお金ですかね。どうしても必要だったので」



ストローを弄ぶ、その姿さえも色気がある。



「美桜さんはどうして作家に?」



「元々本が好きだったし、それに何か打ち込めるものが欲しかったから。」



そう言って紅茶を飲む。書いている間だけは何もかも忘れられる。



「そういえばどんな話何ですか?」



「ホストと女子高生の恋愛ものにしようかなと。でもまだプロット通ってないので変わる可能性は高いで
すけど」


「楽しみにしていますよ」


「ありがとうございます」



話に区切りがつくと、理桜くんは伝票を取り、レジへと向かった


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