タカラモノ~桜色の片道切符~
「あ、お金私が払います」


追いかけるように急いで立ち上がり、踏み出した瞬間、視界が激しく歪み、テーブルに手をついてしゃがみ込んだ



バシャン



音を立てて水が残っていたグラスが倒れ、大きな音がした



「美桜さん?!」「お客様?」



「大丈夫。立ちくらみしちゃったたけだから」



立ち上がろうとするが力が入らない


「何が大丈夫ですか?真っ青ですよ」



「お客様?よろしければ休憩室に。狭いですけど横になれるスペースがございますので」



マスターが心配そうに覗き込む。



「お願いします」



「だい……じょ」



抱き上げようとするのを止めようと言葉を発したが、最後まで届くことは無く、身体は彼の腕の中へ倒れこんだ。






















「約束だよ。二人だけの秘密。大人になったら開けようね」


「うん。じゃあ指きり」


指きりげんまんウソついたら針千本のーます指切った


あれは確か彼の父親が亡くなる前。夏休みのある日。



沿線上の小高い丘に二人で宝物を埋めたんだ。



大人になったら開けようね。って。まだ埋まっているのかな?



でも何埋めたんだっけ?



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