タカラモノ~桜色の片道切符~
濡れ髪を拭きながら冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しグラスに移さずそのまま飲み干した。





寝室を覗くとベッドの上で美桜がミニノートを開いていた。


「寝ろって言わなかったか?」


「だって頑張んなきゃ。頑張っていいもの書かなきゃいけないし」


「無茶するな。……どうしてそこまで頑張るんだ?辛いときは辛いって言った方が楽じゃないか?」


「……辛くても、きつくても頑張んなきゃ。もっと頑張っている人いるんだし、何より私は満たされている。ちょっ
とくらい辛くても頑張んなきゃ罰が当たっちゃう」



ベットサイドに腰掛け、覗き見る。小説の一文のようだ。


「罰が当たるって?」




そっと頬に触れながら聞いてみた。美桜の表情がどうも気になる。




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