タカラモノ~桜色の片道切符~
「……私にね、妹がいたの」




何でかな?



ずっと心に秘めていたこと、話しても良いって思えてきた。


まだたった2回、3回しか会っていない人に。


「体の弱い妹でいつも入退院を繰り返していた。夜中に発作が起こると両親が出て行って、百合子は今一生懸命病気と闘っているから美桜も優も、あ、弟の名前。寂しくても我慢してねっていつも言っていた」



「うん」



「別に百合子のことが嫌いなわけじゃない、大好きな大切な妹。両親のことも恨んだり嫌ったりしていない。でも偶
には甘えたい、私を見て欲しい、小学生の私はそう思った」




鍵をかけた心の扉。零れてくるものを隠そうと美桜は右手で目元を隠した。



「学校行かなくなったの。そしたらお母さん、倒れちゃって。百合子の病状も悪化した。その時になって初めてバカなことしたって気がついたの」



「うん」





理桜の手が美桜の髪を優しく撫ぜた。


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