タカラモノ~桜色の片道切符~
嫌じゃなかった。寧ろ離れることが寂しくて、気がつけば自分からキスしていた。
何も知らない相手、でも心が、好きと叫んでる。体調が悪いから、心細いから、そんなんじゃない、なぜか確信が持てた。
「美桜さん?」
「美桜で良い。……理桜くん」
理桜は美桜の華奢な体を抱きしめ直し、もう1度キスをする。唇が離れると
「理桜くん?理桜って源氏名だよね?本名って?」
形の良い理桜の唇に指で触れながら呟いた。
「理央(りお)。理は同じ字で、央が中央の央」
もう1度、今までよりも深く唇を重ねた。
「寝ろ。昨日も寝てないんだろ?の前に着替えた方が良いか。それじゃ眠りにくいだろうし。男物のシャツで悪いけ
ど」
「……ありがとう」
着替えた美桜をベッドに寝かせると、ベッドサイドの電気を消した。
「……理央くん、どこで眠るの?」
出て行こうとする理央のシャツの袖を思わず掴む