タカラモノ~桜色の片道切符~
「美桜」





暫くすると、お盆を持った理央が部屋に戻ってきた。




小さめのお椀がのったトレイをサイドテーブルに置くと、起き上がろうとした美桜に手を貸し、その背中にクッションを積み上げた。



「熱いから気をつけて」



渡されたのは少し湯気がたっているおかゆとレンゲ



「……いただきます」



一口分をレンゲですくい息を吹きかけて冷ますと口に運んだ。



「理央くんが作ってくれたの?」



「まあ。少なめに入れてきたから、お椀の分はしっかり食って」



「……うん」






あまり食べられないと分かっていたのか理央が持ってきたのは茶碗半分にも満たない量。


それでも今の美桜にとってのギリギリの量だった



「食べ終わったら眠らなくても良いから横になってろ。間違っても仕事なんかするなよ」


「え……私帰るよ。仕事あるし、迷惑」



「迷惑じゃないから。それにまた倒れたいのか?」



真剣な瞳。囚われる……言葉に詰まっていると鞄の中で携帯電話が鳴った。





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