タカラモノ~桜色の片道切符~
濡れ髪を拭きながら寝室を覗くと美桜が泣きながら眠っていた。




「美桜?」



「り……おくん?」



指で頬を残る涙を拭うと美桜が薄っすらと瞳をあけた



「怖い夢でも見た?」



背中に手を入れそっと抱き寄せる。



すっぽりと隠せて仕舞いそうな華奢な体



腕の中で小さく首を振る。



「大丈夫」

優しく髪を撫ぜると、弱い力で抱き締め返してきた



「美桜?」



「このまま」



言われたままに髪を撫ぜ続けると、僅かに腕の中の重みが増した



「美桜?」



顔を覗き込むと小さく寝息をたてている。



背中に回されている腕の力は簡単に解くことはできるが、このまま抱きしめている方が正解の気がした。



「おやすみ」






理央はブランケットを捲り、そのままベッドに身体を投げた。
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