タカラモノ~桜色の片道切符~

甘い時間

指きりげんまんウソついたら針千本のーます



指切った。



あの丘でまだ泥だけの手で約束したのだった。




夏の太陽に照らされた彼の笑顔が眩しかった。



でももうその顔さえも思い出せない。



好き。大好き。気持ちだけはこんなにもまだ鮮やかなのに。



「りおくん?」



「おはよう。って時間でもないけど。眠れた?」



薄っすらと目を開けると眠る前と同じ理央の顔が傍にあった。



「うん。今何時?」



「8時前」



「理央くん。仕事……」



私のせいだったら



「オーナーが特別に休みくれた」




「ごめんなさい」


「謝るの禁止。甘えろ。お見舞いにゼリー貰ったから食べてみない?」



「……うん」




「わかった」



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