タカラモノ~桜色の片道切符~
「違っていたら申し訳ないんだけど、昔ここにあった家に遊びに来ていたんじゃない?」



「はい」



「やっぱり。大きくなって。ということはこの家に居た子も同じくらいになっているってことよね……」



誰?




「あ、ごめんなさい。この近所で駄菓子屋をしていたの。時々3人で買いに来てくれたの覚えている?」




記憶の糸を手繰り寄せてみる。



「……あ」



思い出した。一人100円を握り締めて、買いに行ってた



「懐かしいわね」



「はい」



思い出してみれば記憶はこんなにも鮮やかで、はっきりとしている



「上京して、どうしたかしらね」




え……?



「それ、本当ですか?」




「知らなかったの?」




「はい」



やっぱり嘘だったんだ。




「間違えないわよ。引越しの日業者さんが言っていたから」




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