タカラモノ~桜色の片道切符~
疑問のピースは確実に集まっていく。



教わった町を当てもなく歩いてみた。1度取材で訪れたことがある場所。



「桜井先生?」



この名前で呼ばれるのは会った事がある人間以外いない。







振り返ると、以前取材でお世話になったシスターの姿があった。



「お久しぶりです」



「何かあったのかしら?良かったら入っていきませんか?」



「折角なのでお邪魔します」



ステンドグラス越しの光が眩しく、思わず目を細めた。



「顔にでていましたか?」



「いえ。ただ、初めてお会いしたときとは違うかなと思いまして」



礼拝堂のマリア像は優しく全てを包み込むようで



「桜井先生。正直迷ったのですが、1つお聞きしてもよろしいですが?」



「はい」



真剣な眼差しのシスターに頷きを返した



「この写真、見覚えがありますか?」



少し色褪せた写真を見えせられた。写っているのは幼稚園くらいの子ども3人。



「真ん中の女の子、先生では?」




間違えない。私と優と




「……航大くん」
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