タカラモノ~桜色の片道切符~
ガラス
ごめんなさい。
そんなありきたりの言葉ばかり頭に浮かぶ。作家のくせに。他に言葉は出てこない。
「ごめんなさい」
彷徨いながら、足は人ごみを避け、人通りの少ない場所へと向かっていった
何か、誰かとぶつかったのか思わず後ろに倒れこんだ。
「あんたなか居なくなればいいのよ」
金属が光るのが分かった。刃物だ。
認識した途端、体は無意識に反応して、腕で顔を隠すように縮こまった。
痛い……
熱い。右腕から温かい何かが流れる。
見たくない。イヤ。
「今度こそ」
「やめろ」
男の声が聞こえて、男女の争い声になる。
何……?
「う……」
私を守るように立っていた男の人が呻き声をあげて崩れ落ちてくる。
まるでスローモーションの映像を見ている感覚に囚われる。
辺りを染める色は……赤
「何よー」
女性の叫び声に気がついたのか、狭い路地に人が集まってくる。
見えていた景色は色を失った。
そんなありきたりの言葉ばかり頭に浮かぶ。作家のくせに。他に言葉は出てこない。
「ごめんなさい」
彷徨いながら、足は人ごみを避け、人通りの少ない場所へと向かっていった
何か、誰かとぶつかったのか思わず後ろに倒れこんだ。
「あんたなか居なくなればいいのよ」
金属が光るのが分かった。刃物だ。
認識した途端、体は無意識に反応して、腕で顔を隠すように縮こまった。
痛い……
熱い。右腕から温かい何かが流れる。
見たくない。イヤ。
「今度こそ」
「やめろ」
男の声が聞こえて、男女の争い声になる。
何……?
「う……」
私を守るように立っていた男の人が呻き声をあげて崩れ落ちてくる。
まるでスローモーションの映像を見ている感覚に囚われる。
辺りを染める色は……赤
「何よー」
女性の叫び声に気がついたのか、狭い路地に人が集まってくる。
見えていた景色は色を失った。