タカラモノ~桜色の片道切符~
待つ間にロビーに出て、電話を掛けた。


「どうした?」



「オーナー。実は……」



事件のあらましを手短に話す。


店の方にももう警察が行っているようで、特に驚く様子もなく、相槌が聞こえた。



「で、どこにいるんだ?」



「三條総合病院です」



「……わかった。今日の予約は俺が何とかする。客には上手く説明するから暫く店に出るな」



「はい」



覚悟していたとはいえ、かなりきつい



「勘違いするな。謹慎じゃない。彼女の傍にいろ。大地からも連絡来たからな。休みをやってくれって」



「ありがとう……ございます」



オーナーとその悪友。二人とも正直敵に回したくはないタイプであるが、こんなときばかりは有難い



ナースステーション傍のソファーに腰を下ろしていると、影が出来た。視線を上げると大地の姿



「一応書類上の手続きは終了。で、これが薬。痛み止めと化膿止め。痛み止めは6時間は間を空けて。化膿止めは
毎食後1錠。詳しいことは中に書いてあるから……もし、薬が飲めないような状態だったら必ず連絡して」



「はい」



病室に戻ると着替えた美桜がベッドに座っていた。







短時間に何もかも準備をしてくれたらしい。美桜の着ていた服は事件で駄目になっていたから
< 68 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop