タカラモノ~桜色の片道切符~
「帰っていいって。歩ける?」



頷いた美桜の左側に立ち、歩調を合わせて駐車場へと歩いていく



「美桜。ごめん」


首を横に振った



『ごめんなさい』



彼女の唇がそう動いたように思えて



「美桜のせいじゃない」



激しく首を振った


「美桜?」



ポツリと雫が零れ落ち、本格的に泣き出してしまった



「一先ず乗って。ここじゃ、風が冷たいから」



季節はもう秋になっている。泣き続ける美桜を助手席に乗せ、扉を閉め、運転席に座ると、そっと美桜の頭に触れた。
< 69 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop