タカラモノ~桜色の片道切符~
「何か飲まれますか?点滴終わるまで時間かかるでしょ?」


「じゃ、コーヒーでも貰おうかな。淹れたらこっちに座って」



湯気のたったコーヒーカップとスティックシュガーをテーブルに置き、一人掛けソファーに腰を下ろした



「病院で薬飲めない状態ならって、こうなることわかっていたんですか?」



「まあ」



スティックシュガー3本の甘いコーヒーを啜りながら、大地は視線を理央へと向けた



「水分は摂れている?」



「何とか。ただ自分からは飲んでくれなくて」



「多分熱出てくると思うから、水分まで摂れないってなると流石に俺でも入院しろって言わなきゃいけなくなる。今の状態でも10人中10人が病院に連れ戻すと思うし」



コーヒーを口に運びながら視線は寝室の扉の方に向けた



「……」



「スープでも何でも良いから出来るだけ栄養のあるもの体にいれさせて。傷治らないから」



「はい」



カップに残ったコーヒーを飲み干すと、腕時計を確認し、大地は寝室の扉を開けた



「どう?痛みは治まってきたでしょ」



気だるそうに、僅かに視線だけを向けた美桜に近づき素早く点滴を交換すると



「ちょっとごめんね。熱計るから」



3つほどシャツのボタンを外すと右脇に鞄から取り出した体温計を差し込む



「38度2分。アイスノンある?あったらタオルと一緒に持ってきて」



「他には?」



「じゃ、絞ったタオル」



理央が出て行ったことを確認し、美桜に向き直った



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