秘密のプリンセス
 薫…?私はそう思いながら、声がしたほうを見た。

 すると、女の子らしき子がこっちへかけてきた。

「奈々都、遅―い。ねぇ葵が僕をいじめるよぉ。」

 そう言って、薫と呼ばれた子は奈々都に抱き着いた。

 可愛い。

 奈々都は苦笑しつつ薫を離した。

「いつものことだろ。だから気にするなよ。」

 私は薫君をじっと見つめた。すると薫君こっちを向いて私を指さしながら奈々都に尋ねた。

「ねぇ、この子、誰?」

 正面から見てもかわいい。

 はっ‼ともあれ、自己紹介しなきゃ。

「俺は音田優日。奈々都と同じ部屋になりました。」

 薫は私をじっと見つめる。
< 10 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop