秘密のプリンセス
 「あのねぇ。」
私は謎の人物の顔を見ようと振り向きながら、そして苛立ちながら言った。
 私は謎の人物を見て目を見開いてしまった。
「銀…さん?」
そう、そこにいたのは銀さんだった。てっきり私が逃げたことに怒ってぐっすり寝ているかと思ったのに。
「何で?」
銀さんは鼻で笑った。
「だって、お前に放課後の答え聞いてないからな。」
・・・・?
「そのために私を誘拐したの?」
銀さんはうなずいた。
「さぁ、答えるんだな。」
笑えない。言えない。こんな弱い私なんか言えない。あのいじめ…いじめをもう思い出したくもないし、考えたくない。
 私は首を大きく振った。言えない、言えないというふうに。
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