秘密のプリンセス
 その瞬間、相手が固まったのを見逃さなかった。
 私はそいつらを一網打尽にすると、竹刀をしまう。
 私は、みんなを起こす。
 本当の姿のまま。
 すっかり忘れていたから。
 まず、銀さんが起きて、次に奈々都、薫、一臣、葵の順に。
 そして、みんな私を見て絶句した。
 それで、わかった。私は、うっかりしていたことを。
「優日、お前……。」
葵の言葉を聞いて、私は、はじかれたように走り出した。
 馬鹿だ。馬鹿だ。大馬鹿だ。
 もう、みんなのそばにはいられない。
 いやだ、そんなの。
 私は少しずつ走るスピードを落とし、立ち止まる。
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