秘密のプリンセス
 息ができない。
 彼女達はこっちを見て指差す。
 そしてこっちへ近づいてきたかと思うと奈々都に話しかけた。
「もしよかったら、一緒にまわりませんか?」
 って、誘ってきた。
 奈々都まで離れてしまったらどうしよう。
 私はどうすればいいの。
 無意識のうちに奈々都の服の袖を握りしめていた。
 その行動に彼は驚きつつも、私の肩を抱いて
「ゴメン。俺、彼女がいるから。」
 って、言ってくれた。
「行こう。優日。」
「待って。」
 一人が私を呼び止めた。
「あなた、もしかして、音田優日?」
 ドクン!!
 心臓が嫌な音を立てる。
「そうでしょ。こんなところで会えるなんて。」
 嫌味でも言うような口調だ。
 苦しい。
「良かったわね。すがりつける人が出来て。あんたみたいなクズにこんな彼氏はもったいないけどね。行こっか。」
 去って行く彼女達に私は何も言えない。
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