秘密のプリンセス
 「う~ん、じゃあ、マサ君、うちの可愛い娘をよろしくねぇ~。優日ちゃんの荷物の大体はあなたの部屋にあるから、バイバイ。」

 そう言い終わると母さんは理事長室を出て行った。

 すると、理事長がニコッと笑って、

「じゃあ、部屋に案内するからね。」

 素敵な笑顔でそういった。

「はい。」

 私は理事長に気づかれないように小さくため息をついて、後を追った。

「ここが優日ちゃんの部屋だよ、僕の息子の奈々都も一緒だから安心してね。」

 いやいやいや、安心できるわけないし。
「まぁ、後は奈々都に聞いてね。」

 と、なんていうか雑に説明されて、いってしまった。
 
 どうして、私の周りにいる大人はこんなにも自由横暴なのだろうか。

 入学式の前日くらいゆっくりさせてほしい。ともあれ入るか。

 トントン、ガチャ

「失礼します・・・って、誰もいないじゃん。」

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