秘密のプリンセス
 そうだよ、いたんだ。今、震えていたよね…絶対おかしいって思うよね…

「ごめんなさい。」

 もう、私はこの場にいられなくて、逃げるように立ち去った。

 どうして私っていつもこうなの。ここは体育館裏…人気のない場所だ…

  私はスルッとウィッグを取りそれに顔を隠すようにして目をギュッとつぶった。

 フワッ…

 風が吹いた…優しく、私を包み込んでくれるように。そして、同時に黒髪がふわりと浮いた。

「おい…優日…」

遠くで銀さんが呼んでいた。

「なぁ、優日…っ…」

 クルッ…

 私は後ろを向いた。するとそこには銀さんが立っていた。

「あ、あの・・・・・・」
 
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