秘密のプリンセス
 フフっと笑いながら私は言った。
 しかし、帰ってきた声は奈々都よりも半オクターブ低かった。
私は暗闇の中、必死で目を凝らして声の主は誰かと探した。
するといきなり強い力で腕を引っ張られて部屋の外まで連れて行かれた。そして謎の人物は屋上までぐんぐん引っ張って行った。そう言えば、私は完全に女子だってわかる格好をしている。それはウィッグが取れて長い黒髪が垂れ下がっていて、胸を薄くするサラシはとれてブラジャーだけに。私は一度戻って男になろうかと思ったが力が強すぎて逃れられない。
バンっ‼
 謎の人物は大きな音を立てて屋上のドアをあけた。
「ワッ‼」
私は思いっきり引っ張られて屋上の段差につまずいてしまった。
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