恋のおわり。
「奈緒さん。寝た?」


「…寝てないよ」


後ろから聞こえる声に返事をした。


「こっち向いて」


体の向きを変えて岡島君を見る。
裸の体がまだ熱を感じていた。


狭いベッドの上。
岡島君が腕を伸ばし私を抱き寄せた。


「汗かいちゃったから…」


離れようとした私をさらに近くに抱き寄せた。


「俺もだから…。こうしてたい。…ダメ?」


触れてる素肌が岡島君の温もりを伝えた。
黙って岡島君の髪に触れる。


「サラサラだね」


頬に落ちていた私の髪を耳にかけ大きな手を頬にのせた。
親指で頬を擦りながら


「奈緒さんの頬、柔らかいね」


そう言ってオデコにキスをした。




近くにいるのに
好きって言ってくれるのに


…もっと触れたい。



愛しいのに



…苦しくなる。










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