恋のおわり。
見つめながら岡島君の唇を指で触れた。


「…陵太朗君」


「うん」


「…陵太朗」


「うん」


「…奈緒って言って」




「…奈緒」


なんでだろう。
嬉しいのに泣きたくなるのは。


幸せ過ぎて…泣きたくなる。


顔を隠すように岡島君の胸にオデコをつけた。


「…奈緒。好きだよ」


言葉の振動が響いて顔をあげた。


…好き。
声にしないで唇だけでささやく。


その唇に触れたくて私からキスをする。
唇が軽く触れるキス。


仰向けになった岡島君がにっこり笑いながら


「奈緒のエッチ」


「…陵太朗が悪い。そんな風に好きって言うから」


私の髪を耳にかけ、その長い指で唇をなぞる。


「…疲れてないの?」


「…大‥丈夫」


にっこり笑って起き上がった岡島君が私を仰向けにして


「奈緒のエッチ。…キスはこうするの」


髪の中に指を入れ私の顔を傾ける。
ゾワゾワっとして体が熱を帯びてくる。


重なりあった唇が甘さを含んでいく。
離れない唇が愛しくて岡島君の大きな手を探す。


もれる声に指を絡ませ返事をする。
甘い波に揺れながら重なる熱に体を委ねた。


言葉はもう必要じゃない。
あなたが私を必要としてくれてるから。




…もっともっとあなたの近くに行きたい。
…もっともっと…。








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