恋のおわり。
「料理の本ですか?」


私が持っていた料理本を指差して聞いてきた。


「はい。どの本がいいかなと思って迷ってまして」


「どんなシチュエーションですか?」


シチュエーション?
何を言っているのか解らずキョトンとしていると


「すみません。主語が抜けてましたね。
料理を誰にどんなシチュエーションで作るんですか?」


「えっと…」


真面目に言ってるんだろうな長谷川さんは。


「私、料理にも興味がありまして私の参考で良ければお教え出来ますが」


「…彼氏の誕生日に…」


二度しか会った事がない人にする会話ではないと思ったがなんとなく裏表がなさそうな長谷川さんに警戒心はなかった。


「それはおめでとうございます。
彼氏とはあの時の岡島さんですか?」


「…はい」










< 36 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop