恋のおわり。
「何かいいことでもあった?」


「へぇっ?何でですか?」


お弁当を食べながら佳菜子さんが私に聞いてきた。


「さっきから顔がニヤケてるのわからなかった?」


「別にニヤケてないですよ」


左手で頬を触る。
ニヤケてないって言ったけどたぶんニヤケてたのかもしれない。


朝の事を思い出していた。


早く起きて朝食とお弁当を作っていた。


後から起きてきた岡島君が
お弁当を見てすごく喜んでくれた。


「旨そっ。奈緒さん、ありがとう」


「時間、大丈夫?」


ネクタイをしてキリッとなった岡島君を玄関まで見送る。


「はい。いってらっしゃい」


お弁当が入った紙袋を差し出して岡島君が受け取った。


「いってきます」


ドアを開けて出て行こうとした岡島君が振り返り、私に近づいてキスをした。
にっこり笑って


「奈緒、いってきます」


「…いってらっしゃい。陵太朗」


佳菜子さんにからかわれながら岡島君と同じお弁当を食べた。









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