恋のおわり。
「ごめん、奈緒。遅れて」


後ろから肩を抱かれ岡島君が隣に立っていた。


「行こうか?」


男性を無視して私を自分に近づける。
肩に回した手が力強くて勝手に足が動く。


なんだよっ。
後ろから男性の声が小さく聞こえた。


「…陵太朗君…」


「…」


「陵太朗君?」


「……奈緒さん、無防備過ぎ」


責める感じで言う岡島君。
私が悪いの?
だって私、ちゃんと断ったよ。


力がこもった手が肩から離れ近くにいた岡島君が私から離れた。


「…ごめん。奈緒さん悪くないのに」


私を見て欲しいのに目を合わせてくれない。


…もしかして…ヤキモチ妬いてるの?
そう思っていいかな?


岡島君は嫌な思いしたのに嬉しい気持ちになる私。ごめんねって思いつつも嬉しい。


ニヤケる私を岡島君が気付いた。


「何、笑ってるの?」


「笑ってないよ」


「笑ってるじゃん」


目を合わせてくれた岡島君が嬉しくてさらに笑う。私から岡島君の手を取り


「お昼、食べ行こうか?」


笑う私に岡島君も笑ってくれて繋いだ手を一旦離し、指と指を交差させた。


「何食べる?」


「何、しよっか?ラーメンとか」


「いいね。ラーメンにしよっ」


ちょっとした出来事。
だけどこんな事が思い出になっていくんだろうな。


あのチャラ男君に感謝だな。









< 47 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop