恋のおわり。
子供の頃さやかが人見知りをして誰とも話しが出来なかった時に最初に話しかけてくれたのが長谷川さんだったらしい。


『モンシロチョウの赤ちゃんって青虫なの知ってる?一緒に捕まえに行かない?』


人見知りなんて今のさやかからは想像出来ない話だけど。


その時の嬉しかった事は今でも忘れていない。だから自分みたいな子がいたら今度は自分がそうしたいって思った。


長谷川さんとの昔話をしてくれたさやか。


「こう見えて博士、女の子から人気あったよね。バレンタインのチョコたくさん貰ってさ」


「…さーちゃんからは貰えなかったけどね」


…もしかして…長谷川さんってさやかが好きだったのかな。今の言い方。


「だって私、ずっと新山君が好きだったんだもん。六年間ずっとあげたのに振り向いてもらえなかった」


甘酸っぱいさやかと長谷川さんの初恋話。


「奈緒は?初恋ってどうだった?」


「さやかや長谷川さんはまだいいよ。バレンタインの思い出があるから。私の学校なんてチョコ持ってきたらいけなかったんだから。私の初恋なんて学校のルールに消えちゃったから」


「真面目にルールを守ってたのが奈緒らしい。私だったら抜け駆けして渡してたかもね」


想像つくだけに笑ってしまった。


「奈緒、笑い過ぎ」


長谷川さんを見たら長谷川さんも笑ってた。
優しい笑い方で、さやかを見ながら。









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