恋のおわり。
岡島君の部屋の前に立つ。
違う意味のドキドキが私の心を締め付けた。


チャイムを押し岡島君が出てくるのを待つ。


「…奈緒さん」


連絡をしないで来た。
いつも笑って出迎えてくれるのに今日は笑ってくれない。


「ごめんね。連絡しないで突然来て」


辛うじて無理矢理頬をあげ笑顔を作る。


「…いいよ。入って」


わかってるんだよね。私が来た理由。


テーブルの前に座る。


「今、コーヒー淹れるから」


「私、しようか?」


「俺するからいいよ」


岡島君が台所に行く後ろ姿を見ていた。


…海外赴任。


後ろ姿がとても寂しくて胸が締め付けられた。









< 58 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop