恋のおわり。
「奈緒さんと結婚を前提にお付き合いさせて頂いてる岡島陵太朗と申します」


緊張感たっぷりの雰囲気の中で岡島君が私の両親に挨拶をした。


たぶんお父さんも岡島君、以上に緊張してる感じで


「おぅ、岡島君、足を崩してくれたまえ」


くれたまえってお父さんそんな言葉、日頃使った事ないのに。


「お父さん、緊張してるの?
普段はこんなんじゃないのよ。
正座はキツイでしょ。ゆったりとしてね。岡島君」


お母さんが笑いながらフォローする。


「はい。大丈夫です」


お母さんが岡島君の家族や私との出会い、仕事の事などを質問しながら時間が過ぎた。


「奈緒、食事の準備するから手伝って」


岡島君とお父さんを二人、和室に残して台所に向かった。


「大丈夫かな?二人きりにして」


「大丈夫でしょ。喧嘩はしないでしょ」


楽天的なお母さん。
鼻歌を歌いながら食事の準備をしてた。


さすがに喧嘩はしないだろうけど…。
二人っきりって気まずくないかな。


「私、ちょっと様子見てこようかな?」


「ほっときなさい。
奈緒の前では言えない事があるかもしれないでしょ、お父さんも。
ほらっ、酢の物小鉢に入れてゴマをパラパラって振って」


「…うん」


お母さんの指示に従い料理の準備をした。









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