恋のおわり。
台所に行ったお母さんに注意してもらおうと私も台所に向かう。


「お母さんもお父さんに言ってよ。
ビールもあんなに飲んでたのに」


「いいじゃないの。お父さん、うれしいのよ。奈緒が彼氏連れて来て。
洋一さんはお酒が一滴も飲めないじゃない。
岡島君がお父さんに付き合ってくれてるのがうれしいのよ」


洋一さんはお姉ちゃんの旦那さん。


お父さんが言ってた事があった。
『洋一君の唯一の欠点はお酒が飲めない事だな』お姉ちゃん夫婦が帰った後にポツリと言ってビールを飲んでた。


「それに奈緒から紹介したい人がいるって電話がきてお父さん、喜んでたのよ。
お父さん、奈緒には何も言わないけど心配してたんだから。奈緒は元気か電話しろって。自分で電話出来ないからいつもお母さんに言って」


お母さんから電話はよくきてた。
お母さんがお父さんの伝言を言ってた。


『体だけは大事にしなさい』と。


お湯が沸く音がしてお母さんがポットにお湯を入れる。


「奈緒、そこの焼酎瓶持って行って」


お母さんが一升瓶を指差して私に言った。


「おつまみも持っていこうか。イカの塩辛あったよね。お父さん、好きだから」










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