恋のおわり。
急に襲ってきた動悸。


ドロボー?
まさかよね?
靴を脱ぐドロボーっていないよね?
だってきちんと揃えてあるし。


おそるおそる部屋への廊下を歩き部屋のライトを付ける。


黒い物体がベッドで丸くなってるのが見えた。





…岡島君。




どうして…‥?





ここにいるの?





ライトが付いて眩しくなったのか


「う、‥ううん。‥眩し、うん?
…奈緒さん?帰ってきたの?」


眠たそうな細い目で私に声をかけた。


「…陵太朗君。…どうしているの?
なんで?帰ってきたの?」


岡島君に近づき質問する。


起き上がりベッドに座った岡島君が


「…奈緒さんだ」


細い目のままで近づいた私の手を取りベッドに引っ張った。


私を抱きゴロンと倒れ下からキスしてきた。




「ちょっ、陵太朗君。待って。
どうして?仕事は?」


私がベッドに手を付き体を浮かせた。


「奈緒さんに会いたくて帰ってきた。
仕事が一段落したんだ。来月の初めには帰って来る」


「海外赴任は終わり?」


「そう。まとまった休みが取れたから奈緒さんに会いに帰ってきた」


「帰って来るなら連絡してよ。
もうー、ドロボーかと思ってビックリしたじゃない」


嬉しいのとびっくりしたドキドキとが入れ混じって涙が込み上げる。


「マンション前で待ってたんだけど
時差ボケで眠たくなって勝手に部屋入っちゃった。ごめん」


「…」


「奈緒さん。ごめん」









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