恋のおわり。
岡島君の胸に顔を付けていた。


「奈緒さん、顔を上げて」



「…やだ」




「顔見せて」




「…やだ」



私、岡島君に甘えてる。
いいよね。久しぶりだし。




「奈緒さん。

…俺さ、ずっとずっとこうしてたいんだけど

………お腹空いた~」


情けない声で言う岡島君を顔を上げて見た。


「もうーー」


久しぶりに甘い雰囲気に浸りたかったのに。


笑う岡島君を軽く叩き起き上がり


「昨日の残り物しかないよ。
帰って来るって言わないから何も用意してないよ」


ブツブツ文句を言いながら台所へ向かう。
手っ取り早く野菜炒めと昨日の残り物を冷蔵庫から出しテーブルに並べた。


いただきます。と食べ始めた岡島君を見ていた。


「 美味しい」


「帰って来るならご馳走作ってたのに」


「奈緒さんの手料理ならなんでもいい」


冷凍してあったご飯を二回も解凍して食べた。
空になったお皿を前にご馳走さまでした。と私に言った。







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