ボク、「いぬ」
次に出逢ったのはスーツを着た男の人。

この人ならボクを「飼って」くれるのかな?


「なんだ、このノラ犬が!」


足にひっついて見上げる。
おひげを生やしたあなた、ボクを「飼って」?


「はっ、あっち行け!あっち行け!」


ちょっとぶたれた。
痛い、でもボクの未来は怖いんだ。


「人間様によるな、犬!」


ちょっと投げられた。
凄く痛い、でもボクの未来はもっと怖いんだ。
なんとなくそう思う。


「二度と近づくな!」


体中が痛くて立ち上がれない。
ああ、行っちゃう。
待って、行かないで!




ボクは「いぬ」。捨て犬。
彼らは「ひと」。人間。


 
< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop