世にも奇妙な話
 お月はしばらく、そこで冥福を祈る後、船を引き返さず、海に身を投じた。他の女中らは互いに顔を合わせ、続いて海底へと沈んでいった。


 これが事実。そんな辛く悲しい過去があっても、彼らは笑っている。笑って、砂浜に転げて、子供のように騒ぐ。海は平和に、浜風は優しく吹いている。幸せな時間が、続いている。

「行きましょ」

 彼女は彼の手を握って言った。
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