痴漢は犯罪です!!
その日の放課後。
亜優美は彼氏の清水優斗(しみずゆうと)と一緒に下校途中に立ち寄ったクレープ店で今朝起きた痴漢の出来事を話した。
「さすが、亜優美。負けん気強いねぇ~。」
痴漢と戦う彼女に少し呆れながら優斗はクレープを頬張る。
「当ったり前でしょ!痴漢は立派な犯罪だもの。触られる側が大人しくしていたらいい気になっちゃって!何かね、いかにも普通のサラリーマンです。って感じの人ほど、怪しいのよ。」
「でも、本当にその人が痴漢したの?」
「そうよ。だって私、手を掴んだもの。」
「それって、電車がブレーキかけた直後だろ?」
「そうだけど。」
「亜優美がやった事は正しいと思うけど、もし万が一間違えていたら大問題だぞ。」
「間違えていたら、の話でしょ?じゃあ何?優斗は愛する彼女が痴漢に遭っていても、黙って触られていろって言いたいの?」
亜優美の顔が次第に不機嫌になる。
「そうとは言わないけどさ。慎重に事を運ばないといけないぞ、って言ってるの。」
「もう、いい。優斗なんて大嫌い。」
プイと顔を背けると持っていたクレープをやけ食いし始めた。
「やれやれ…。」