痴漢は犯罪です!!
新庄駅。
亜優美がいつも乗る電車はこの駅を午前7時45分に出発する。
その電車が来る30分前、午前7時15分。
慌ただしく電車に乗り込むたくさんのサラリーマンを背に、痴漢被害者の亜優美、彼氏の優斗、痴漢に間違えられた中川、協力者の合田の4人が、ホームの端で輪を作っていた。
「皆さん、今日必ず痴漢を捕まえて見せます!」
亜優美が高らかに宣言する。
「けれど、一昨日、昨日と痴漢行為を起こして尚且つ、昨日は捕まえられそうになったのに、今日もやってくるかな?」
合田が腕を組んで唸りだす。
「いや、2日連続だから今日もやってくると思います。亜優美がまた同じ場所に立っていれば必ず。」
優斗が自信を持って答える。
「まぁ、亜優美ちゃんが必死に捕まえようとすればするほど、相手もスリルを覚えてやってくるのかもしれないな。」
「変態野郎め!」
自然と亜優美の気持ちも高ぶる。
「僕が考えた作戦だと。」
中川が静かに話し出す。